
幼児はその純真無垢さゆえ、みな天界に入る。そこでは数々の教育システムが確立されている。箇条書きに列挙してみよう。
①幼児たちは乳母とともにおり、彼らは彼女たちを母と呼んでいる。
②彼らは「主の祈り」を読み、乳母から、天界の流入を手段として祈りを学ぶ。
③彼らのために説教する者がいる。
④この世の学者の理知をはるかに超えた知恵や知性も流入する。もっとも、幼児たちはこれらについて子供らしい観念を抱くのみであるが。
⑤彼らのもとには天界から来る表象的なものが存在する。
⑥彼らはその勤勉さに応じて、おもに花や花冠を身につける。
⑦彼らは楽園に導き入れられる。
⑧彼らは試練を受ける。
⑨彼らは各自の受容の状態に応じて成長する。
⑩彼らはさまざまな気質を持っている。
⑪この世で幼児を愛した、母に似ている乳母たちが彼らに割りあてられる。そして乳母たちには、幼児がまるで自分の赤ん坊であるかのような認知が与えられるが、しかしこれは、善良で、天界からの流入を受容できる者以外には与えられない。
⑫そこで育てられる幼児は、自分は他生(霊界)で生まれたのだとしか考えない。
⑬彼らは時間とは何か、空間とは何かといった、地上的なことがらを知らない。
⑭一ヶ月もすると、彼らは天使の言葉を話す。
スウェーデンボルグによれば霊界は「役立ちのための役立ちの情愛」に溢れており、「役立ち」⇒useは「愛」から「知恵」をとおして生み出される。宇宙は人体のような一つの巨大な有機体であるから、各部分のたんなる足し算ではなく、各部分は全体にとって不可欠の要素である。
各部分は他の部分に役立つように機能することによって宇宙も天界も全体として普遍的に維持される。それゆえ、「役立ちのための役立ちの情愛」とは、もっぱら他者に役立つことのみを欲する情愛をさし、これが天界の本質的な構成要素となる。その意味では幼児に対する愛にみちた接しかたは、宇宙の摂理そのものであろう。