人の心が現実を創造する


 「ミクロの世界の物質はすべて粒子の性質を持っていて、しかもその粒子が次第に密度を濃くしていきながら、やがてマクロ⇒物質世界の万物へと転化していく。また、そのミクロの物質が心を持っているのであれば、それらから構成されているマクロの世界の万物もまた、ミクロの世界と同じく心を持っているのは理の当然であろう」 と考えるならば、「ミクロの世界もマクロの世界も、その根源は心の世界である」といえよう。 

   自分がこの世にあってこそこの世を見ることができるのであって、自分が死んだらこの世を見ることができなくなるのだから、自分にとってはこの世は存在しないと同じではないか。

 このように考えていくと、「私たちが見ているあるいは住んでいるこの世は、本当に存在しているのか」との疑問が持ち上がる。それに呼応する「量子論の答え」は、かのアインシュタインを長年悩ませ続けた、

 「誰も見ていない月は存在しない」である。

 言い換えれば、

 「月は人が見たとき、はじめて存在する」

 象徴されるといえよう。

 

「月は無数の粒子(電子)からなっているが、人間が見ていない間は波の姿をとっていて見えないものの(波であるから⇒波動性)、人間が見た瞬間に、その波が収束(凝縮)して粒子になり(粒子性)、見える現実の月になる⇒波束の収縮性という」

 

 この様子を具体的に要約すれば、

「月でもそれを眺める人間でも、あらゆる物質(万物)は、誰にも見られていないうちは波になって広がって見えないが、誰かに見られた瞬間に一つに見える。すなわち一か所で見つかる」

 

 さらにまとめて考察すれば、

「ミクロの物質は波としての性質が極めて強く、波のときは大きく広がっていて、その居場所を特定することができない。その理由から、見ることはできないが、マクロの物質は波としての性質が極めて弱い(形として見えやすい)から、いつも、その居場所を特定することができる。したがって、見ることができる」。⇒それが我々人間の住む物質世界といえる。

 

 先程の「月の比喩」を別の言い方で表現するならば、

「誰も見ていない月は、ここに在るともいえるし、また、さまざまな場所に存在していて(状態の共存性)、私たちが見た瞬間に(凝縮した大きな粒子の状態になって)一か所に見えるようになる」

 

 さらに言えば、

「ミクロの物質の電子(粒子)の集合体からなる月は、誰も見ていないときは(波の状態で)ここに在るともいえるし、あそこに在るともいえる(共存状態あるいは重ね合わせの状態)にあって見えないが、現実(マクロ)の世界に住む私たちが見た瞬間に粒子の状態になって一か所に決まり一つの月に見える」 

 

   以上の事柄をまとめれば、「私たちのこの世もまた、私たちが見ていない間は見えないが(実存しないが)、私たちが見た瞬間にはじめて見える現実のこの世として実存するのである」

自然と人間は共に心を持っていて一心同体である

 これまで、私たちは自然を観察する際には、「観察者は観察対象の自然に影響を与えないように、自然をあるがままに観察しなければならない」と考えてきた。

 この思考を援用すれば、「自然を観察するには、心を持たない観察対象の自然と心を持った観察者の人間を分けて考えなければならない」。

 

  ということは、この考えはまた、「自然⇒万物は心を持たず心を持った人間とは別物であるから、両者は分けなければならないとする西洋の物心二元論の考えそのものである」といえよう。

 ところが、「量子論」によれば、自然の観察にあたり、意外なことが見つかった。

「自然、なかんずく、ミクロの物質をあるがままに観察することは絶対に不可能である」。ということである。なぜなら、「ミクロの物質を観察しようとすれば、それまでは波であった物質が瞬間に粒子に変わるからである」。ということは、「ミクロの物質は、観察者の心を察知(感知)して姿を変えるということである」

 

 したがって、「自然のミクロの物質は、単なる物質ではなく心を持っていて、観察者の人間の心を感じて起動するのである」。

 

 その意味するところは、「自然も人間も共に心を持っていて、その心を通じて自然と人間は互いに一心同体である」となる。

 

 さらに論を進める。とすれば、「電子は人間の外部にも内部にも存在していて(非局在性)を有しているから、自然も人間も心を持った電子によって結ばれていて以心伝心である」といえる。

 この考えはまた、「東洋の神秘思想にいう天人合一の思想としての物心一元論の思想そのものである」。これこそが「量子論が実験によって解き明かした真の自然像である」。これがまさしく、「量子論の思想と東洋の神秘思想が酷似している所以である」。

 

 まとめるならば、

「自然(万物)は人間と同様に心を持っているから、その自然の心と人間の心が共鳴し合って、この世を創造し存在させている」いうことになる。

 

 以上、総合すればこの事こそが、

「量子論が実験によって解き明かした心の世界の真相である」といえよう。  

(岸根卓郎著『量子論から解き明かす「心の世界」と「あの世」』PHP、2014より引用  )