第四章 死後の人間・霊3
天界のイメージ
天界のイメージ

 死とはなんであろうか。スウェーデンボルグはこの謎に満ちた、人類の永遠のテーマである問いに冷静に答えている。

 

 ひとことで言えば、死とは「絶滅ではなく、生の連続であり、一つの状態から別の状態への移行にすぎない」

 人間はみな、自己同一性(アイデンティティ)の意識と生前の記憶を失うことなく、古くなった衣服を新調するように魂の容れものである肉体を脱ぎ棄て、肉体と類似した霊的身体を持って甦る。

 

スウェーデンボルグの霊界分析をもう少し細かく見てみよう。彼は霊界での数多くの体験に基づいて、死の実相を次のように描写している。

 

人間の真の霊的属性は霊界に来ても失われることはない

 人間は死ぬと自然界から霊界へと移動する。その際、地上の肉体は脱ぎ棄て、自分のすべて、つまり個人的な性質に関係する全部を霊界に携えてゆく。その理由は、霊界つまり死後の世界に入ると、この世に似た身体を持つからである。物質世界の肉体と霊的な身体との間には、どんな違いもないように見える。実際、霊界の人々はどんな違和感も感じていないのだ。

 

 ただ、彼らの身体は霊的であるため、地上的な属性から分離され清められている。でも、霊的なものが霊的なものに触れたり見たりするときの様子は、自然的なものが自然的なものに触れたり見たりするときと、すべて同じである

 

 したがって、人間は霊となったときに、この世で持っていたような肉体を自分が持っていないとは知覚・感覚的に感じないし、驚くことに自分が死んだことさえ知らないのだ。

 

  さらに、人間は霊界において、この世で経験した外的、内的なあらゆる感覚を享受する。生前と同じように人間は見、聞き、話し、嗅ぎ、味わい、何かに触れればその圧を感じる。生きていたときと同じように人間は憧れ、願い、渇望し、思考し、熟慮し、感動し、愛し、意志する。研究生活を楽しんだ者なら霊界でも同様に勉学に励んでいる。

 ひとことで言えば、人間が一つの生命から別の生命へ、あるいは一つの世界から別の世界へ移ってゆくようなものである。

 

地上の肉体の死にすぎない単なる死では、人間に霊的に具わっている真の属性はどんなものでも失うことはないのだ。

 

 人間は自らの自然的記憶(この世の記憶)さえも霊界へ携えてゆく。霊界においても人間は、幼児期の初期から生涯の最後の瞬間までこの世で見、聞き、読み、学び、考えたすべての記憶を持ち合わせているのだ。