第五章 天界と天使たち
天界と地獄界のイメージ
天界と地獄界のイメージ

 人間は相互に信じ合える理想的な世界を夢みて、そうした世界をユートピア、地上天国、桃源郷などと畏敬の念を持って呼んでいる。スウェーデンボルグは「人間が創られた目的とは、人類の永遠の生と幸福が実現される天界の創造にほかならないと言う。

  天界こそは人間性のあらゆる理想と願望が実現される、永遠に続く至福と安寧と美の世界なのである

 

天界の天使たちの生活

  善の行いや真理の理解の度合いによって、天界は三層に分かれ、また各層は無数の共同体に分かれている。そして、国・宗教・信条・個性といった、生前に偶然与えられた表面的な条件には一切関係なく、本当の意味での善人はすべて天界に入ると言われている。これがスウェーデンボルグが説く、宇宙における「普遍的摂理」である。

 

 天界に住む人々は「天使」と呼ばれるが、翼のはえた神話的な天使がいるわけではない。すべての天使は、かつて地上で生まれた人間である。

 

 天使たちは互いに助け合う相互扶助の世界を形成し、職業も持っている。結婚もあれば家庭もある。天使とはいえ有限な人間であることに変わりはないから、ときには自己愛(エゴ)が表に出て憂鬱な反省の状態を味わう。しかし、そこには絶えざる努力による悟りの増殖がある。

 

  だが、一歩間違えば現在の階層から下の階層に落ちていく。天使といえども安住はできないのである。天使の周囲に広がる世界は、純粋な愛と英知が投影された霊的な生きた自然であるので、想像を絶した美に満ち溢れている。 

 

 天界にいる者たちの言語に絶した知恵や幸福に関して言えば、彼らは眼前に見るあらゆる対象のなかに、自らの霊的な内部に隠されている神的で天上的な事物を見ているのだ。